かんまきくど

上牧久渡2号墳

 2014年2月、数日前の大雪が残る現地で説明会が開かれました。説明は元橿原考古学研究所の関川功尚氏(現上牧町教育委員会調査指導員)で、氏の丁寧で大変判りやすい説明が印象的でした。調査中にも訪れた際に、これは大したことないなと勝手に思ってたりしてたのですが、新聞発表で石室床に凝灰岩敷設は全国でも例がなく、石材の輝石安山岩の赤茶色との組み合わせは荘厳さを演出する為だった、と書かれていたのを見て、「これは現説に絶対行かないと」と思い、乱掘された石室ではありますが、残された床面と石材を見て十分ロマンを感じることができました。

おすすめ度(☆3.0) 

★所在地:北葛城郡上牧町

★墳形:径約16m、現高約3mの円墳。東西幅30mの周溝あり

★石室:南側に開口した両袖式横穴式(全長約9m)石材は輝石安山岩の自然石。玄室長4m、幅1.9m, 羨道長約5m

★棺:不明(木棺の可能性が高い)

★出土遺物:刀、刀子、刀装具の破片、琥珀の棗玉、鉄釘、須恵器、土師器、平瓦 

★築造年代:7世紀中頃

★発掘調査:2014年

★被葬者:不明

 

メモ

・石室の床全面は凝灰岩の破片で敷き詰め石室の石材は赤褐色の輝石安山岩が使用されています。築造時、灰白色(床面)と赤褐色(石室石材)により石室内は独特のコントラストで被葬者を荘厳化してた様子がうかがえ、このような石室は他に例がないようです。

・当2号墳は2011年の踏査で発見された古墳で、当古墳の立地は古代の葛下郡と広瀬郡の境にあたり皇室の所領地であり、押坂彦人大兄皇子系の一族の墳墓の可能性を指摘する声も。(注:押坂彦人大兄皇子の墳墓はここから約1.5キロにある牧野古墳が有力視されている)

・この古墳群は古墳時代初期から終末期まで一つの丘陵に6基の各時代の墳墓が有る珍しい古墳群です。           

 

【参考文献】

・久渡2号墳発掘調査説明会資料 (上牧町教育委員会 )  

 

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