いしがみ
1985年~1986年にかけてゴルフ場造成に伴い橿原考古学研究所で発掘調査されました。大岩古墳群(5基)に属し別名大岩1号墳とも呼ばれています。場所は奈良ロイヤルゴルフクラブの近くの標高280mの丘陵の頂部にありますが夏場は少しわかりにくいかも知れません。石室は吉野川流域の古墳とは異なり自然石の巨石を玄室2段、羨道1~2段に積んでおり比較的持ち送りの少ない構造で、玄室と羨道の高低差が少ない古墳です。(この時代の玄室の天井はだんだん低くなり、やがて続く横口式石槨への過渡期の古墳)あまり知られた古墳ではありませんが探す楽しみもあります。2012年3月16日に県史跡に指定されています。
おすすめ度(☆4.0)
★所在地:吉野郡大淀町大岩
★墳形:円墳(径22.5m、高さ約4.3m)
★石室:花崗岩の自然石を積上げた両袖式横穴式石室。全長約10m、玄室長4.2m、玄室幅約2m、玄室高約2.1m、羨道長約5.8m,羨道幅1.5m、羨道高1.6mで南に開口。 各壁の石材表面が平坦に揃えられ、玄室の高さが幅と同じくらい低い。(7世紀中葉過ぎの段階で玄室の高さが幅と同じくらいまで低くなる傾向が自然石積み石室、切石積み石室に共通してみられる。)比較的似た石室として明日香村の打上古墳や、香芝市の平野1号墳があげられる。
★石棺:緑泥片岩の石棺と木棺があった模様。
★出土遺物:装飾付き須恵器、木葉状装飾品。
★築造年代:7世紀中葉(石室内から出土した須恵器の特徴より)
★発掘調査:1985~1986年橿原考古学研究所
★被葬者:大岩地区を拠点にして南(吉野川)北(巨勢谷)の交通路を利用して勢力をたくわえ、飛鳥の中央政権ともつながりをもつた有力者。
【参考資料】
・石神古墳の被葬者をめぐって(千賀 久 氏)
・大和を掘る(1985年)(橿原考古学研究所)
行き方