こしべ

越部古墳

 越部川の東の丘陵の端にあり、従来から古墳の存在は知られていましたが、1997年の調査で2基の古墳の存在が正式に確認されました。1・2号墳共に玄門部に縦長の袖石を持つ岩橋型(吉野川対岸の岡峯古墳等)の影響を受けながらも、全体としては比較的、大きめの石材を用いた独特の雰囲気のある石室です。吉野川を隔てて、それぞれ勢力を持つ有力者がいたのかも知れません。尚、見学は可能ですが、調査後は埋め戻されており、1号墳の石材が数か所で確認できるだけですが、この地域の古墳文化を考える上で貴重な古墳です。文化財保護の意味からも是非解説板の設置が望まれます。 

おすすめ度(☆2.5)

所在地:吉野郡大淀町越部

 

1号墳

★墳形:推定径約24m、高さ5.6mの円墳

★石室:片袖式横穴式石室。全長8.3m、玄室長3.6m、奥壁幅約1.9m、現存の高さ約1.5m。玄門部に吉野川流域の古墳の特徴である縦長の袖石が用いられている。               

★棺:不明

★出土遺物:金銅性製単鳳環頭太刀柄頭、馬具、須恵器、土師器、平安時代中期(10世紀後半)の「堂」と書かれた墨書土器  

★築造年代:6世紀後半~7世紀

★調査:1997年道路拡張に伴う発掘調査

★被葬者:? 

2号墳

★墳形:推定径約16mの円墳

★石室:片袖式横穴式石室。全長4.8m、玄室長3.1m、奥壁幅約1.6m、現存の高さ約1.4m。1号墳と同じく玄門部に吉野川流域の古墳の特徴である縦長の袖石が用いられている。               

★棺:不明

★出土遺物:馬具

★築造年代:6世紀後半~7世紀

★調査:1997年道路拡張に伴う発掘調査 

★被葬者:?(当地の有力集団の長)

【参考文献】

・大淀町の文化財地図 大淀町教育委員会

・平成19~22年度 大淀町文化財調査報告 大淀町教育委員会

・しもいち・おおよど古代史展講演会資料 

掲載写真はトップ写真を除き「しもいち・おおよど古代史展」より引用させていただいております。

 

行き方