しもいけやま

下池山古墳

  大和古墳群のほぼ中央部に位置し、古墳との関連は不明ですが池に映える前方後方墳の姿がよく観察できる古墳です。冬場の雑草の少ない時期は墳頂に上れ、西殿塚古墳など大和古墳群が一望できおすすめです。埋葬施設は大規模なもので、石室を覆う粘土は赤土を使用し、数種類の色の布を粘土の間に敷きこみ、周囲には排水用等に多量の河原石が敷かれています。(この為、木棺の身部分が奇跡的に残存していました。)石室は安山岩の板石を用いており、壁面には赤色顔料が塗られていました。また副室から内行花文鏡が発見されていますが、縞模様に染められた絹織物等から作られた巾着袋に入れ、木箱は羅を使った漆塗の箱で、当時の最高の素材と技術を駆使したものと言われています。2014.6.29に大和古墳群の構成資産として国史跡に指定されました。 

おすすめ度(☆4.5)

★所在地:天理市成願寺町 下池山

★墳形:前方後方墳(全長120m、後方部一辺60m、幅57m、高さ14m、前方部長60m、幅27m、高さ6m)。前方部をほぼ南面に向ける。葺石あり、埴輪なし。2段築成。周濠あり

★埋葬施設:発掘調査の結果、後方部 の墳頂に合掌型の竪穴式石室(長さ6.8m、幅・北側1.3m、南側0.9m、高さ1.8m)があり、高野槙材の割竹型木棺(現状5.2mで復元長は6m強)が発見されました。

★出土遺物:勾玉、管玉、ガラス玉、石釧、ヤス、槍先、内行花文鏡。

副葬品の数々は県立橿原考古学研究所付属博物館にて常設展示されており、この古墳の素晴らしさが更に実感できます。特に高野槙材の割竹形木棺と内行花文鏡は見ごたえ十分です。

★築造年代:4世紀初~中頃 

★発掘調査:1995~1996年 

★被葬者:不明  

★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳

 

【参考文献】

・下池山古墳調査概報(橿原考古学研究所)

・大和の古墳を語る(河上邦彦氏ほか)

・大和の古墳Ⅰ 大和における前期古墳の立地と構造(泉武氏) 

・山の辺の道の遺跡を訪ねて(天理市教育委員会)

・近畿の古墳文化 (泉森皎氏)

 

行き方 (JR桜井線 長柄駅から徒歩20分)