おばか

小墓古墳

 1987,1989年に行われた周濠部の調査で、全国でも十数例しかない円柱を持つ高床式の家形埴輪や、おびただしい数の木製品(木製埴輪)が見つかった古墳で、古墳祭祀について貴重な資料として注目されています。周辺の東乗鞍古墳や西乗鞍古墳に比べ認知度は低く、あまり知られていませんが、当時としては結構な規模の古墳です。2012年8月の「夏の文化財展 小墓古墳」では、出土遺物の展示と説明会が行なわれました。天理市のこうした過去の発掘事例を紹介の取り組みは、当時の状況を知らないものにとっては貴重な催しで、大きな拍手を送りたいと思います。

おすすめ度(☆3.0)

★所在地:天理市杣之内町小墓

★墳形:天理市市街の南東部に位置し同一丘陵上に東乗鞍古墳、西乗鞍古墳、小墓古墳が築かれています。いずれも古墳時代後期の前方後円墳です。小墓古墳は全長が約80mで後円部の径が約50m(現状は約5m削られているようです) 前方部幅は約70mで前方部を南南西に向けています。調査時、幅約12~13mの周濠が確認され、今も水路や道の形状として名残を残します。周濠部の転落石から葺石の存在の可能性が考えられます。

★埋葬施設:かなり削平され現状の高さは5~6m程度か?。主体部は未調査。横穴式石室か?

★出土遺物:発掘調査時、周濠部から埴輪類、蓋形木製品、さしば形木製品等多数出土。

★築造年代:5世紀末~6世紀前半

★発掘調査:1986年天理大学歴史研究会が測量図作成。1987年、1989年杣之内浄水場拡張工事に伴い東側の周濠部の一部のみ発掘調査

★被葬者:不明

 

【参考文献】

・天理の古墳100(天理市教育委員会) 

・山の辺の道の遺跡を訪ねて(天理市教育委員会)

            

行き方 

現状は墳丘は削平され畑となっており、簡単に上れますが残念ながら特に見どころはありません。しかし周囲の古墳との位置関係を確認したり、発掘調査時の資料等で当時の模様を思い描くのもいいかも知れません。