こうにん

光仁天皇陵(田原塚ノ本古墳)

 光仁天皇は天智天皇の第六皇子で、天応元年(781年)に即位しました。即位に伴い父の志貴親王は天皇号を追尊され「春日宮天皇」となりました。光仁天皇は天応2年(782年)に亡くなり、翌年に広岡山に葬られましたが、桓武天皇が譲位した際に大和に改葬地を求め、延暦5年(786年)にこの地に改葬されました。田原東陵は江戸時代中期の元禄の修陵以来、田原塚ノ本古墳があてられています。

なお、光仁天皇の墓は土葬であったことが続日本書紀の記述からわかっています。持統天皇以降は天皇は火葬されてきましたが、第45代聖武天皇以降はまた土葬が主流となりました。

 

おすすめ度(☆3.0)

★所在地:奈良市日笠町

★墳形:東西約38m、南北約30mの不整形な円墳。高さは約8m。2段又は3段築成。墳丘周囲には空濠が巡る。更にその周囲には外堤が築かれているが元治元年(1864)の修復時に設けられたようだ。(奈良県遺跡地図では06ーC-0005で径36mの円墳とある)

★埋葬施設:不明であるが伝聞によると平城京の方向に開口する石室があったという。これに関連するのかどうか不明ですが、上野武次郎「山陵」(1925年刊)に文化年間(1804~18)に墳丘西側で、横穴式石室の羨門暴露せりという伝えが載せられています。

★出土遺物:不明

★築造年代:不明

★発掘調査:未

★被葬者:不明

 

【参考文献】 

・天皇陵総覧 光仁天皇陵(小池香津江氏)

・天皇陵古墳を歩く(今尾文昭氏)

行き方

 古墳としての見所は特にありませんが、周囲の景観が時を忘れさせてくれる感じがしました。太安万侶墓のある、田原地区を含め、この辺りをのんびり歩いてみるのもいいかと思います。