たにわき

谷脇古墳

 標高約400mの尾根上に立地する円墳です。宇陀市の中では古くから知られる有名な古墳で、石室が特異な事で知られ県史跡に指定されています。石室は図のように、一般的な縦長の石室と異なり、全国的にも数少ない横型のT字型石室です。(県内で他には、半壊していますが桜井市忍阪の忍阪9号墳が知られる程度です)

おすすめ度(☆4.0) 

★所在地:宇陀市大宇陀守道宇黒石モト下927

★墳形:円墳、径16m、高さ5m(前方後円墳説もあり)南に開口しています。

★石室:両袖式横穴式石室(全長5.5mで玄室長約2.5m、幅約3.5m、高さ2.5m。四壁より持ち送り天井石は1枚。床面には小礫が敷かれています。羨道部は玄室のやや東側寄りにあり、羨道長は石室閉塞部の捉え方で参考文献の記述が異なりますが、羨道部は天井石の存在する所とすれば約3mとなり、高さは約2.5mです。

★棺:石室主軸に直交して東側に安置されています。蓋石は既に失われていますが、組合式の石棺で長さ2m、幅0.65m、深さ0.55mで石材は流紋岩室溶結凝灰岩(通称榛原石)が使われています。

★出土遺物:金環2対(棺内東側と棺外で1対、棺内西側で1対)と歯牙が見つかり同一棺内に東と西に頭部を置く2体の成人が埋葬されていた可能性が高い。この他、須恵器、土師器、黒色土器、鉄製品(鏃、刀子)が発見されました。

★築造年代:6世紀中葉

★発掘調査:1944年(昭和19年)奈良県教育委員会。1996年(平成8年、花園大学考古学研究室が墳丘及び石室の測量調査。

★被葬者:不明

★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳

 

【参考文献】 

・日本の古代遺跡 奈良中部(寺澤薫氏) 

・大和の古墳を語る(泉森皎氏ほか)

・大宇陀町史

・奈良検定テキスト

・大和の考古学100年(柳澤一宏氏)

 

行き方

交通の交通の便が悪く、そばまでは車で行くのがベターと思います。行き方は守道(もち)小学校の横の道を西の丘陵を目指し進むと峠付近に小屋があります。更に登ると鶏舎がありますが夏場は雑草で見つかり難いかも知れません。鶏舎の後ろに古墳の看板と開口部が見えてきます。規模的にはそんな大きな古墳ではありませんが、このT字形の石室は一見の価値があります。榛原石の組合せ式石棺も蓋石はないものの保存状態は良好です。