すやま

巣山古墳

 馬見古墳群を代表する巨大古墳で、国の特別史跡に指定されています。巣山古墳は、大王の墓域が佐紀古墳群から古市古墳群へ移動する時期に築かれた前方後円墳で、藤井寺市の津堂城山古墳とほぼ同時期と考えられています。周濠内に島状遺構を設け、水鳥形埴輪を配する点は非常によく似ています。2005年3月には前方部東側外堤の濠内で柱材、板材と共に古代の霊柩船と思われる喪船の部材が出土し、これらの部材を組合せた復元展示がされ話題を集めました。

(2008年8月)出土した埴輪類等は広陵町文化財保存センターで現物展示されています。(土日は休館、入場は無料) 

おすすめ度(☆5.0)

★所在地:北葛城郡広陵町三吉

★墳形:前方後円墳、墳丘規模は再測量調査で全長204m→210m、後円部径110m→118m、高さ18m→約17m、前方部幅94m→96m、高さ約15mと判明。これは築山古墳と共に馬見古墳群で最大級。前方部を北に向ける。墳丘は3段築成。盾形の幅の広い周濠が巡り、濠の周囲に幅約30mの外堤を持つ。

★埋葬施設:後円部中央より西に偏した所に二つの竪穴式石室がある。西にあるものは長軸を南北にとり側壁は石英粗面岩の割石を積み天井石は凝灰岩の切石4枚が残存し高さは約1.1m。この石室の東約1.8mの所にもう1基存在し天井石が3枚存在する。尚、前方部にも小石室が1基存在するがいずれも盗掘されています。

★出土遺物:盗掘(明治時代)された石室から、鍬形石、車輪石、石釧等の石製品や勾玉、管玉等の玉類が見つかり他にも鏡、銅釧、冠も出土した模様。滑石製勾玉は長さが10cm近くもあり、孔から頭部に文様が彫られた珍しいものです。

★築造年代:つくられた時期は、馬見古墳群の最盛期にあたる4世紀末から5世紀初め

★発掘調査:2000年~ 

★被葬者:不明  

★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳               

 

【参考文献】

・巣山古墳調査概報(広陵町教育委員会)

・ヤマト王権と葛城氏(近つ飛鳥博物館)

・馬見丘陵の古墳(河合町教育委員会ほか)

・奈良県に於ける指定史跡(第1巻) 内務省編集

・遺物が語る大和の古墳時代(泉森皎氏・伊藤勇輔氏)

・大和の古墳を語る(泉森皎氏ほか)

・大和葛城の大古墳群 馬見古墳群(河上邦彦氏)

 ・大和国古墳墓取調書(野淵龍潜編)

・葛城の考古学(松田真一編)

・石の考古学(奥田尚氏)

 

 

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