たかまつづか

高松塚古墳

1972年3月に我が国初の極彩色の壁画が発見され一大センセーションを巻き起こした古墳であり、古墳は国の特別史跡に、壁画は国宝に指定されています。・内部は横口式石槨で、二上山屯鶴峯産凝灰岩(キトラ古墳と同じ)の切石に漆喰が全面に塗られ、彩色壁画が描かれていました。南面より盗掘を受けていましたが、副葬品はそこそこ残っていました。これらは正倉院御物等に文化史的に近いものです。特に海獣葡萄鏡は中国の西安の唐墓から出土した鏡と同笵鏡であり注目されます。 壁画は、側壁面には男女人物群像、四神(但し朱雀は消滅)、日月、天井部に星宿が描かれており中国の影響が考えられています。(副葬品は飛鳥資料館で常設展示され、壁画も年に数回一般公開されています。)

おすすめ度(☆3.0)・・・本来は☆5.0

※トップの写真は1984年当時の高松塚古墳

 ★所在地:高市郡明日香村平田

★墳形:円墳(径24m、高さ5m程度)2段築成

★石室:横口式石槨、二上山屯鶴峯産凝灰岩切石(長さ2.65m、幅1.04m、高さ1.13m)

★棺:漆塗木棺202×57cm

★出土遺物:金銅、銅製棺金具、銀製太刀金具、海獣葡萄鏡、琥珀、ガラス玉、人骨(熟年男性)

★築造年代:7世紀末~8世紀初め

★発掘調査:1972.1974.2003~

★被葬者:刑部皇子説(直木孝次郎氏・猪熊兼勝氏)穂積皇子説(門脇禎二氏)石上麻呂説(白石太一郎氏)弓削皇子(菅谷文則氏・梅原猛氏)百済王善光説(千田稔氏)等多数あり 

★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳

 

【参考文献】

・阿武山古墳と牽牛子塚(今城塚古代歴史館)

・飛鳥の発掘(網干善教氏)

・遺物が語る大和の古墳時代(泉森皎氏・伊藤勇輔氏)

・飛鳥・藤原の宮都を語る(相原嘉之氏)

・大和の古墳を語る(伊藤勇輔氏ほか)

・大和の終末期古墳(河上邦彦氏)

・日本の古代遺跡 奈良飛鳥(菅谷文則氏)

・日本の遺跡発掘物語 高松塚古墳(岡本健一氏)

 

参考(2009年9月14日追記)

現在、墳丘及び周溝等の外形の復元をしています。(取り出された壁画及び石材は修理で約10年間かかる間を利用して当面の整備として調査結果から推定される築造時の姿に戻す作業がおこなわれている。)しかし、下記の写真でもわかるように、どう見ても重機でつくった平成の古墳でしかない。こういうのを整備とか復元と言うのだろうか?

 

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