おっさか

忍坂古墳群

 大和朝倉駅から徒歩5分足らずで行ける団地内の古墳です。残念ながら移築古墳なので感激度はやや劣るかもしれませんが、8号墳は日本初の六角石室発見!と、当時たいへん話題を呼んだ古墳で、古墳マニアなら押さえておくべき古墳の一つです。尚、見学は常時可能ですが夏場はすごい雑草で、8・9号墳の石材が見えにくいので、冬場がおすすめです。又、この場所から万葉集でもお馴染みの忍坂山(外鎌山)や倉橋山(音羽山)を見ることが出来ますので、万葉集ファンの方にもおすすめです。

おすすめ度(☆4.0)〈六角墳は見ておくべき古墳)

外鎌山の西にのびる屋根上及び南斜面に位置した古墳群で団地造成に伴い10基が調査され調査後に1・2・8・9号墳はこの場所に移築されたのですが、他はすべて消滅してしまいました。そんな中にあって程度が比較的良好な1,2号墳に加え8・9号墳は貴重な磚積式石室という事で移築し保存されています。移築に当たっては、墳丘周辺の土ごと移築されており、その重要さが伺い知れます。

 この古墳群で一番注目を集めたのは8号墳で、南斜面に築かれた径約12mの円墳(多角形墳の可能性もあり)で、周囲に幅約3mの濠を巡らせていました。埋葬施設は加工した榛原石によって築かれた磚積式石室(レンガ状に割れる室生安山岩、通称榛原石を積んで築造した石室)で、石室の南半分や上部は既に失われていましたが、日本で初めて見つかった6角形の特異な石室です。尚、南西部には羨道部があったものと推定されています。出土遺物は石室内から歯1本と銅製釘4点、ガラス玉約100点、須恵器杯蓋片1点、周濠より土師器甕1点が発見されています。

 9号墳も墳丘の南半分が破壊されていましたが規模的には8号墳と同等で埋葬施設も8号墳同じく磚積槨式石室ですが石室は長方形のT字形の横穴式石室と思われます。8・9号墳ともに築造の時期は明確ではありませんが、7世紀後半から末葉にかけて築造されたと考えられています。

 

尚、このほか1号墳、2号墳の2基の横穴式石室が移築されています。

 

【参考文献】

・桜井の横穴式石室を訪ねて(桜井市教育委員会)

・桜井の横穴式石室(桜井市教育委員会) 

・外鎌山北麓古墳群の調査(桜井市埋蔵文化財センター)

・飛鳥発掘物語(河上邦彦氏)

・桜井市外鎌山北麓古墳群(橿原考古学研究所編・前園実知雄氏ほか)

 

 

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