かなや

金屋ミロク谷石棺

 金屋の集落から大神神社へと続く「山の辺の道」沿いの、喜多美術館の近くの収蔵庫におさめられているのが、国の重要文化財「金屋の石仏」です。2体の石仏が安置され、ともに凝灰岩製の石板に浮彫され、やや風化していますが、重厚な表情が印象的です。用材は石棺の板石を転用したとも、説明版には書かれていますが不明です。  

ここまでは前置きで、古墳ファン的には収蔵庫の石仏よりも、収蔵庫の下に仮置きされた状態の石材が見所です。うち1石は5世紀末に造られたと考えられる、珍しい阿蘇ピンク石製の家形石棺の蓋石で、外面には4つの縄かけ突起があり、「金屋ミロク谷石棺」と呼ばれています。収蔵庫内の石仏との関係は、明確ではありませんが、石材の種類が違うので関係は薄いと思われます。

おすすめ度(☆3.5) 

★所在地:桜井市金屋 

★棺:加工痕がある2つの石材が置かれ、このうちの一つは阿蘇ピンク石製の家形石棺の蓋石で長さ約2m、幅約95cm、高さ約35cm。長側面に2か所ずつ、計4か所の縄かけ突起を持つ。棺身については不明。

★年代:5世紀末(形態的な特徴から)

 

参考:現在知られる阿蘇ピンク石製の石棺は15か所が知られており、奈良県内では、この金屋ミクロ谷石棺の他、慶運寺石棺(桜井市)、野神古墳(奈良市)、兜塚古墳(桜井市)、鑵子塚古墳(天理市)東乗鞍古墳(天理市)植山古墳(橿原市)が知られている。中央政権と九州地方の勢力との関係に興味が惹かれます。 

 

【参考文献】

・宇土馬門石歴史散歩(宇土市教育委員会)

・大王家の柩(板橋旺爾 氏)

・石棺から古墳時代を考える(間壁忠彦 氏)  

 

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