つかみょうじんこふん

束明神古墳

 今までの現説の中で一番感動した古墳。当時は考古学者が被葬者云々を言う事は無かったのですが、発掘を担当された橿原考古学研究所の河上邦彦氏は、発掘調査後「事実を一番知ってる考古学のほうから被葬者として可能性のある人物を出し、それを世間が評価&批判すればよいのでは」と当時としては革新的な考えで、いろんなメディアに発信されました。いつも物事をはっきり言わない考古学界にあって大変画期的な事でした。現説当日は河上氏の本によると、約9,000人が現地を訪れ、調査中の1ヶ月では5万人に達したと書かれています。現在は埋め戻され春日神社の境内に静かな眠っています。

おすすめ度(☆3.0)・・・本来は☆5.0 

★所在地:高市郡高取町佐田(春日神社境内)

★墳形:八角墳(対角長約30m、高さは残存高2m)

★石室:横口式石槨、石槨長3.1m、幅2.1m、高さは復元高2.5m。床面のみ漆喰が1cmの厚さで塗られていた。石槨の南側の入口部分に幅1.7mの墓道が検出された。(石槨に棺を入れた後、埋められていた)

★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳

  

横口式石槨の一種であるが、高松塚古墳のように少数の石材で石槨を造るのではなく、約50cm四方で高さが約30㎝の凝灰岩を加工した石材を、なんと500枚ほど使用して家形に組まれている。この写真は橿原考古学研究所付属博物館の庭に置かれた復元模型で、復元模型作成に際し、次の事がわかった。奥壁の幅が唐尺(1尺=29.4㎝)が使われている。他に、なんと黄金分割の比率(1:1.618)が使われている事が判明。この発見により、失われた天井部の復元模型が出来た。

【参考文献】

・歴史読本・古代天皇家の皇子たち 解明!皇子の古墳(河上邦彦氏)

・大和の終末期古墳(河上邦彦氏)

・飛鳥を掘る(河上邦彦氏)

・大和の古墳を語る(河上邦彦氏ほか)

・考古学点描(河上邦彦氏)

・「天皇陵」総覧 草壁皇子墓(水野正好氏)

・天皇陵古墳を歩く(今尾文昭氏) 

行き方