まいたに

舞谷2号墳

   榛原石を漆喰で固めた全国でも十数例しかない磚積式の貴重な石室で、その代表格として花山西塚古墳とともによく知られている古墳です。石室の天井構造は、奥壁と左右の側壁から持ち送りし、天井部の断面は家形の寄棟造りのようになっています。こんな貴重な古墳ですが、保存状態があまりよくありません。以前、開口部の前に、信仰と石室の保護を兼ねた小祠があり、石室には鉄製扉があったのですが、朽ちて今はありません。せめて最低限の保存対策だけでも、お願いしたいと思うのですが、民有地にあり所有者の意向もあり難しいようです。例えば説明板を設置し、古墳の解説と共に、多人数で墳丘に上らないとか石材を動かさないようにとかの注意書きくらいは・・・このままでは破壊が進行し、特に石室内面に塗られている漆喰の劣化が心配されます。

おすすめ度(☆4.5) 

図面は桜井の横穴式石室を訪ねてより引用

★所在地:桜井市浅古

★墳形:方墳(東西10.6m、南北9m)高さ約2.5m。南に開口しています。

★石室:横穴式の磚積墳(全長4.1m)玄室長2.4m、幅1.3m、高1.6m、室生安山岩(榛原石)羨道部は半壊。

★棺:不明

★出土遺物:不明

★築造年代:7世紀前半~中頃

★発掘調査:舞谷古墳群として調査は1984年~1985年に3号墳、4号墳を中心に行われました。その結果3,4号墳は1墳丘に3つの石室を持つ珍しい古墳とわかりました。(1号、2号、5号墳は測量調査のみ)1号墳は破壊が激しく辛うじて墳丘の規模が判明5号墳については桜井市の所有の為、後の時代で発掘も可能であることから、墳丘規模のみ調査されています。尚、この2号墳に関しては測量はされましたが未調査です。

 

舞谷古墳群としてまとめると、墳形はすべて方墳で南に開口しています。大きさは2号墳を除き14m✕10m前後で、1号墳と5号墳も墳丘規模からみて一墳丘3石室の可能性が大きいことがわかりました。従って舞谷古墳群は5墳丘でなんと13石室の可能性を持つ特異な古墳群です。

★被葬者:渡来系?

 

【参考文献】 

・大和の古墳を語る(泉森皎氏ほか)

・舞谷古墳群の研究(橿原考古学研究所ほか) 

・古墳 -桜井市古墳綜覧ー( 小島俊次氏) 

・桜井の横穴式石室(桜井市教育委員会)

・桜井市の横穴式石室を訪ねて(桜井市教育委員会) 

行き方 

 見学は2号墳のみで他は埋め戻しされ見学は出来ません。