こうぜ1号墳

東石室

こうぜ1号墳は東西の石室が隣接して築造され、東石室は前方部に位置します。しかし前方後円墳としては尾根に直交して築かれているなど疑問点もあるようです。石材は西石室に対してやや小さいですが、部分的には巨石も使われています。 ひと昔前まで、この古墳については情報は、ほとんど無く何回もカンを頼りに挑戦したのですが、見つけられずにいましたが2008年3月にようやく発見!!(見つけてしまえば、そんな難しい場所にあったわけではないのですが)しかしその時は木の根っこを必死で掴みながら尾根の急坂を登ったのですが、道らしき道はなく「こんな所に古墳なんかあるんやろか?」と不安な気持ちを抑え半分落ちそうになりながら、ひたすら上を目指して登りました。やっと登りつき開口部を見つけた時の感激は「古墳好き」にしかわからない喜び。しかしそこに待ってたのは第2の試練。ただでさえ狭い羨道の入口が枯葉で更に狭くなっていたのです。入るのを一瞬ためらいましたが、見つけた嬉しさと怖いもの見たさで足は自然と開口部に向かっていました(笑)しかし、この日は別の目的で周辺を散策中に何故か見つかりそうな気持ちになり、来たので懐中電灯も無くカメラのフラッシュだけが頼りで、それはそれは大変でした。この石室、全長が約10mと決して大きくありませんが玄室はそこそこの大きさですが、見た目がなんとなくバランスの悪い石組みで恐怖感を増長させてくれます。(笑)古墳そのものは、そんなウワーというような古墳ではありませんが冒険心をくすぐる古墳です。(補足)2010年の測量調査時に開口部の土砂が若干取り除かれ、今はかなり入りやすくなっています。

★所在地:桜井市浅古字こうぜ

★墳形:前方後円墳?(全長50mで東石室は前方部)南東に開口。

★石室:両袖式横穴式(全長9.9m)玄室長4.7m、幅2.3m~2.5m、高さは現状2.5m(本来は3m以上)、羨道長5.2m、幅約1.4m、高さ約0.8mで奥壁3段、側壁4~5段積み。

★棺:不明

★出土遺物:不明

★築造年代:6世紀後半~末

★調査:2006年 

★被葬者:? 


西石室

 東石室の20mほど西にあり、南西に開口しています。(後円部に位置します)元々は秋殿東古墳とよばれていましたが、周囲の2基(円墳)を合わせ、こうぜ古墳群と改名されました。  雰囲気は東石室とよく似ていますが使用されている石材はこの西石室の方が大きいように感じます。この石室も開口部が狭く、東石室同様・・・いやそれ以上に入るのをためらう古墳だったのですが、2010年の石室の測量調査時に、開口部の土砂が少し除去されたので、今はかなり入りやすくなりドキドキ感は若干薄れた感じはしますが、それでも石室マニアにはおすすめの石室です。

★所在地:桜井市浅古字こうぜ

★墳形:前方後円墳?前方後円墳の場合全長50m、南西に開口。         

★石室:両袖式横穴式(全長10.9m)玄室長5.4m、幅2.5m~2.9m、高さ現状2.6m(元々は3m以上と思われます)石積みは奥壁3段、側壁4段、羨道長5.5m、幅1.2m前後、高さ現況は約0.6m。

★棺:不明

★出土遺物:不明

★築造年代:6世紀後半~末

★発掘調査:2006年

★被葬者:? 

 


【参考文献】

・「桜井の横穴式石室」(桜井市教育委員会)

・「2006年度 発掘調査報告書」(桜井市文化財協会)  

 

 

★おすすめ度(5点満点で4点)