さんりょうぼひがし

三陵墓東古墳

 大和高原の小盆地に位置する都祁の地は、古代の闘鶏(つげ)国があったといわれ、古くから独自の文化が開けたところです。遺跡も縄文時代からのものがあり古墳時代に入ると三陵墓西古墳や三陵墓東古墳を中心に周辺の尾根筋にも群集墳が築造され古事記や日本書紀にみえる都祁直、闘鶏国造との関連が想定されます。この古墳も三陵墓西古墳と共に整備された古墳で家族連れでゆっくり出来そうな場所ですが、この古墳に限らず整備すれば、当然、現在人の手にかかり、今までの年月が失われ、平成の古墳になってしまうのが個人的には残念でたまりません。かといって荒れるに任せると言うのも困りますが・・・整備は必要最小限に留めてほしいものです。築造当時の姿に戻すと言うのは無意味ではありませんが方法を考えてほしいとおもいます。この三陵墓古墳群は、古代の闘鶏国絡みの有力者の墳墓であることは間違いないと思います。見ておくべき古墳でしょう。

おすすめ度(☆3.5)

★所在地:奈良市都祁南之庄町

★墳形:前方後円墳(全長約110、後円部径72、前方部幅50m)前方部を西南西に向ける。後円部は3段築成で、それぞれのテラス面で朝顔形埴輪を含む円筒埴輪列が巡る。葺石は各段の急斜面に残っていたが元々は全面に葺かれていたと推定されている。前方部は段築は見られなかったが斜面に葺石があり上段、下段共に円筒埴輪列を巡らせていたと思われる。

★埋葬施設:未発掘(粘土槨の可能性高い)

★出土遺物:明治から大正時代にかけて盗掘を受け銅鏡2面、玉類、鉄製武器、工具類など多数出土したことが伝えられているが個人収集家の手に渡っており詳細はわからない。

★築造年代:5世紀後半

★発掘調査:1989年~1991年

★被葬者:闘鶏国造(つげのくにのみやつこ)、都祁直(つげのあたい)との関係が注目される。 

★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳

 

 【参考文献】

・日本の古代遺跡5 奈良中部 千賀 久氏

・奈良まほろばソムリエ検定公式ガイドブック

・大和の古墳Ⅰ 奈良盆地周辺の古墳(泉森皎氏) 

・大和の古代遺跡案内(泉森皎氏)

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