にしのりくら

西乗鞍古墳

 この古墳の周辺には東乗鞍古墳、小墓古墳、西山古墳、塚穴山古墳、峯塚古墳等があり総称して杣之内(そまのうち)古墳群と呼ばれ物部氏の奥津城とみる説があります。墳丘規模は西山古墳に次ぐもので、同一屋根上に作られた同時期の東乗鞍古墳より一回り大きな古墳です。埋葬施設は未調査ですが、大型の横穴式石室の存在が指摘されています。この古墳は桜の名所としても市民の憩いの場になっています。一時土地所有者が「動物霊園予定地」として墳丘への立入を禁止しておられましたが、天理市が買い上げ今は自由に見学が可能です。

おすすめ度(☆3.5)

★所在地:天理市杣之内町

★墳形:前方後円墳(全長118m、後円部径66m、高さ16m、前方部幅88m、高さ16m前方部を南に向け2段築成。埴輪あり。

★埋葬施設:不明(大型の横穴式石室の可能性大)

★出土遺物:周濠部より円筒埴輪、朝顔形埴輪、須恵器などが出土

★築造年代:5世紀末

★発掘調査 

☆一次調査(1981年)橿原考古学研究所

運動場(後のホッケー場)建設に伴う発掘調査で墳丘の南側の隣接地で南側と東側で掘割が検出されています。 

☆二次調査(1999年)天理市教育委員会

古墳の西側(道路側)の法面崩壊に伴う調査が行なわ周濠の堆積と東側外堤の遺存が確認された。調査時コンテナ10箱分の遺物が出土しています大半が埴輪片(円筒、朝顔形、人物、器材形等)で須恵器片も出土しました。 

☆三次調査(2012年)天理市教育委員会

前方部の南西隅の一部を発掘調査(内容不明)

☆四次調査(2014年)天理市教育委員会

国の史跡指定を目指し調査が行われた。内濠は過去の調査でも確認されていますが、今回の調査で古墳の北、西、南側の4か所で出土。この内、西側では1999年の調査成果と合わせて最大幅15m、深さ 1.3mと判明しました。又、今回の調査では円筒埴輪や須恵器が多数出土し形状から築造年代は5世紀末の可能性が高まりました。 

★被葬者:近くに拠点があった古代の豪族・物部氏との関連が指摘されています。       

          

【参考文献】

・天理の古墳100(天理市教育委員会) 

・山の辺の道の遺跡を訪ねて(天理市教育委員会) 

・大和の古墳を語る(泉森皎氏ほか)

・西乗鞍古墳の調査(天理市教育委員会)

・天理市史  (天理市)

・西乗鞍古墳発掘調査現地説明会資料 (天理市教育委員会)

 

行き方