みなみあたおおつかやま

南阿田大塚山古墳

 この古墳は吉野川左岸の五條市南阿田という集落にありますが、バスの本数が極めて少なく、車でそばまで行くのがいいでしょう。最初の案内板にまず感激!「中にはいれます。懐中電灯を用意ください」という案内があるんです。(嬉しくなりますよね)以降古墳までの距離と、行き先表示がポイントごとにあるんです。こんな親切な古墳の行き先案内板は初めて!!最後のほうでは「もう一息です」とか書かれていています。この案内板を考えられた方はキット優しい方なんでしょうね。それはそうと肝心の古墳ですが、噂にたがわず素晴らしい雰囲気を持っています。以前、下市町の岡峯古墳も見学していますが、負けず劣らずの石室です。石室の大きさは岡峯古墳よりもはるかに大きく、迫力を感じました。ただ石棺はありません。交通の便は悪いですが、吉野の香りのするこの古墳、おすすめです。尚、この古墳出土の逸品が五條バームに常設展示されてるので合わせてご覧になるといいでしょう。

おすすめ度(☆4.5) 

★所在地:五條市南阿田町

★墳形:帆立貝式前方後円墳(全長30m)前方部幅15m、後円径21m、高さ北側1.5m、南側3m。前方部を南西に向ける。葺石、埴輪は無いが結晶片岩の板石列が、くびれ部と前方部の端、前方部の上面端、後円部墳頂部東側で確認されている。

★石室:両袖式横穴式石室。全長9m、玄室長4.5m、幅3m、高さ2.4m、羨道部長4.5m、幅は玄門部で0.6m、羨門部で1mと外に向かって拡がる。又羨道部は玄室より一段(約15cm程度)高い。

★棺:不明

★出土遺物:玄室内から馬具類と挂甲、鉾、装身具類、須恵器の杯、鉄鏃、紡錘車、鉄製釣針が羨道部からも須恵器が多数出土(特に動物の装飾をつけた台付壷等は注目される)

★築造年代:6世紀前半

★発掘調査:1980年(橿原考古学研究所)

★被葬者:不明(藤原良継の墓所と伝承されてきた) 

★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳

 

メモ

・紀ノ川の中、上流域では数少ない前方後円墳である。

・玄門に比較的大きな石材を積みその床に基石を置くのは岩橋(いわせ)型石室の玄門の前道に通じる構造であり装飾付き台付き壷とともに紀ノ川流域との深い交流を物語っている。

 

【参考文献】

・日本の古代遺跡6奈良南部(楠元哲夫氏ほか)

・吉野川紀行 橿原考古学研究所付属博物館 春季特別展 

・大和の古墳を語る(泉森皎氏)

・大和の古墳Ⅰ(泉森皎氏) 

・遺物が語る大和の古墳時代(泉森皎氏・伊藤勇輔氏)

 

行き方