まきがみね

槇ヶ峯古墳

 新野(にの)地区の標高200mの丘陵上にある古墳で正式には槇ヶ峯1号墳といいます。周辺には奈良県遺跡地図上では数基の小規模な古墳が記載されていますが、現状確認可能なものは、1号墳に向かう途中の共同墓地の、六地蔵の裏手にある槇ヶ峯5号墳とこの1号墳です。1号墳は墳丘の一部が削平され、横穴式石室も羨道と玄室の天井部の一部を失い土砂が山積しており、見学は玄室の開口部から中に入る事になります。玄室は玄門付近が破壊されているので大人2~3名がやっと入れる位の広さですが奥壁に石棚をもつ珍しい構造の古墳です。石棚を持つ古墳は奈良県下では三里古墳、岡峯古墳と、この槇ヶ峯古墳の3例しかありません。このタイプは和歌山県の紀ノ川下流域に多いことから、紀氏との関連が指摘されています。          

おすすめ度(☆3.5)

★所在地:吉野郡大淀町新野

★墳形:標高200mの丘陵上に築ずかれた円墳(径約11m、高さ約2.6m以上) 葺石と思われる河原石が散在している。     

★石室:岩橋型横穴式石室(復元全長5.5m以上、玄室長2.2m以上、幅1.64m、高さ1.61m、羨道長3.3m以上)南西に開口。緑泥片岩の割石を小口積みにして構築

★棺:近年石室内から組合せ式石棺の一部が見つかっている

★出土遺物:須恵器片

★築造年代:7世紀前半 

★調査:1977(簡易測量調査・橿原考古学研究所)、2010測量調査(大淀町教育委員会) 

★被葬者:古代豪族「紀氏」関連 

 

【参考文献】

・日本の古代遺跡6 奈良南部 楠元哲夫氏

・大淀町の文化財地図 大淀町教育委員会

・平成19~22年度 大淀町文化財調査報告 大淀町教育委員会

・しもいち・おおよど古代史展資料 下市町文化連盟・大淀町文化連盟

・現地説明板 大淀町教育委員会

・平群・三里古墳 奈良県史跡名勝天然記念物調査報告第33冊(橿原考古学研究所)