垂仁天皇陵は奈良県の周濠のある古墳の中で屈指の美しさです。近鉄電車の車窓からも見ることができ、その美しい姿は周濠に満々と水をたたえた時に際立ちます。古墳嫌いの方でも、この古墳の美しさをわかっていただけるのではないでしょうか。野鳥のさえずりも聞こえ、しばらく世間の騒がしさとは違う世界に浸ることができます。拡張された周濠内には、垂仁天皇の命により常世国に不老不死の実を求めて使いに行ったとされる田道間守の墓とされる陪冢があります。陪冢は元々外堤の一部であったものが、周濠の拡張時に残されたと考えられています。
★所在地:奈良市尼ヶ辻 西町
★墳形:前方後円墳(全長227m、後円部径123m、前方部幅118m)前方部を南東に向ける。前方、後円共に3段築成で同一水面の鍵穴形周濠が巡っています。江戸時代に灌漑用水確保の為、前方部東側濠等が拡張されています。埴輪、葺石あり。
★埋葬施設:不明(江戸末期の盗掘記録から長持型石棺と考えられています)
★出土遺物:円筒埴輪、盾形、家形、靱形埴輪が出土
★築造年代:4世紀末
★発掘調査:未
★被葬者:不明
★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳
【参考文献】
・百舌鳥・古市古墳群出現前夜(近つ飛鳥博物館)
・大和の古墳を語る(泉森皎氏ほか)
・ヤマト政権の一大勢力 (今尾文昭氏)
・天皇陵古墳を歩く(今尾文昭氏)
・大和古墳めぐり(前園実知雄氏ほか)
・天皇陵総覧 垂仁天皇(濱口芳郎氏)
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