明治32年11月26日に地主の松浦富三郎氏が石材採取で発掘していた時に、古鏡など数種類の古器物を発見し、同月30日に榛原警察分署に届出し、出土した遺物は現在、東京国立博物館の所蔵になっています。
埋葬施設は当時の記録から、近年同じ井足岳の山麓の「ワラ田古墳」の石室が、5世紀後半~6世紀前半に北部九州を中心につくられた、竪穴系横口式石室である事から愛宕山古墳もその可能性が考えられています。
★所在地:宇陀市上井足(かみいだに)
★墳形:有名な丹切古墳群の南の愛宕山にあり近年まで径約26m、高さ約3.5mの円墳とされてきましたが、現在は全長約37m、高さ6.7mの前方後円墳であることが判明しています。
★埋葬施設:竪穴系横穴式石室もしくは竪穴式石室
★出土遺物:鏡(一面が銘帯を持つ半三角縁神人鏡で径は20.7cm、他の一面は15cmの四獣形鏡)、玉類、鉄製武具、短甲、須恵器
★築造年代:5世紀後葉
★発掘調査:正式な発掘調査は行われていません。
★被葬者:不明
【参考文献】
・日本の古代遺跡 奈良中部(寺澤薫氏)
上井足の集落を南北に通る道を南に向かうと民家と民家の間に東に向かう小道があるので、この道さえ見つかれば、たやすく探すことが出来ます。地元では古くから知られた古墳なので村の方に聞かれてもいいでしょう。(僕の場合はそうしました)現状は小さな祠と簡単な説明板があるだけですが、それなりの雰囲気は感じられます。尚、墳頂部に榛原石が、かためて置かれていますが、この古墳の石室に使われた可能性があると思われます。