三角縁神獣鏡、直弧文鏡など34面もの多量の鏡が出土した前方後方墳です。内3面は直弧文鏡(直線と円弧で構成された我が国独自のもので、中でもこの古墳出土品のものが最高峰といわれています)他には三角縁神獣鏡が9面、画文帯神獣鏡3面、方格規矩鏡4面、内行花文鏡14面が見つかっています。また他で殆ど出土例が無い(兵庫県で一例あるが一式揃っていない)西晋の時代(265~316年)の金銅製帯金具も一式出土しています。現在は陵墓参考地で立ち入ることは出来ませんが、明治時代の発掘で、不確かながら埋葬状態が、ある程度わかる古墳で、副葬品についても写真等で公開されています。
★所在地:北葛城郡広陵町大塚
★墳形:前方後方墳、全長126m、後方部幅67m、前方部幅66m、前方部を南南西に向ける。周囲に一部、池が巡っていますが周濠ではないようです。埴輪あり。
★埋葬施設:1885年に当時の所有者が植林中に後方部中央で大石を発見し、内部の竪穴式石室と思われる所から多量の遺物が発見されています。その時の証言では頂上部から3m以上、掘った所に、板石組の石棺を安置し、その上を砂礫で覆った後、竪穴式石室を構築したようですが詳細は不明。
★出土遺物:車輪石、鍬形石、石釧などの石製品とともに、金銅製帯金具、刀剣類や34面の鏡が掘り出された。尚、出土品の多くは宮内庁で保存されています。
★築造年代:4世紀末(出土した金銅製帯金具は、中国の晋時代の古墓から出土したものとそっくりで、晋王朝からもたらされたものであろうと言われている。)馬見古墳群のなかで最初に造られた古墳と考えられています。
★発掘調査:未
★被葬者:不明(出土品から大陸と関係の深い人物と考えられています。)
【参考文献】
・馬見丘陵の古墳(河合町教育委員会ほか)
・ヤマト王権と葛城氏(近つ飛鳥博物館)
・天皇陵古墳を歩く(今尾文昭氏)
・遺物が語る大和の古墳時代(泉森皎氏・伊藤勇輔氏)
・大和の古墳を語る(泉森皎氏ほか)
・大和葛城の大古墳群 馬見古墳群(河上邦彦氏)
・葛城の考古学(松田真一編)
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