ふじのき
言わずと知れた未盗掘石棺で藤ノ木フィーバーと言われるほど注目を浴びた古墳です。ほぼ築造年代がわかるので、他の古墳の年代を考える上で基準になる古墳です。調査後約2年をかけて整備が行われ、2008年5月に特別公開が行われました。はじめて自分の目で見て、身震いするような感動をおぼえたものです。ただ惜しいことに墳丘が整備と称し、土饅頭のような平成の古墳になってしまったのが残念です。特に開口部はコンクリートになり悲しくなってしまいます。整備は必要だと理解はしていますが他に方法はなかったのでしょうか?尚、副葬品の多くは橿原考古学研究所付属博物館で常設展示されていますので合わせてごらんになるといいでしょう!
おすすめ度(☆5.0)(但し復元した墳丘には失望)
★所在地:生駒郡斑鳩町法隆寺西二丁目
★墳形:法隆寺寺山から南に延びる低丘陵地に立地する円墳(径48m、高さ9m)全て盛土によって築かれている。南東方向に開口し、墳丘周辺から埴輪片が出土しています。(6世紀後半、大和でも大型古墳の一部で、埴輪が用いられていた事が判明)葺石はなし。2006~2008年にかけて墳丘整備されました。
★石室:両袖式横穴式(現状長14m)で、壁体をほぼ垂直に積み上げています。玄室長6m、幅2.4~2.7、最大高4.4m、羨道長8.3m、幅2.1m、高さ2.4m。
★棺:刳抜式家形石棺が石室長軸に直交して置かれています。二上山産白色凝灰岩製で、内外とも赤色顔料(水銀朱)が塗布されており、石棺規模は長さ2.3m、最大幅1.3m、最大高1.5mで、特徴としては縄掛突起が小口部には無く4突起である事(この時期は6突起が一般的)。蓋と身が、ともに東側が西側より大きく作られています。棺内には成人2体の被葬者が東頭位に並列して埋葬されていました。
★出土遺物:石室内から、馬具、挂甲、鉄鏃、玉類、鉄製農工具、鉄刀など又、石棺内より装身具、金属製品、銅鏡、太刀、剣などが出土し副葬品の一部は国宝に指定されています。特に世界でも類例の無い装飾性豊かな金銅製馬具セットが注目されます。
★築造年代:6世紀後半
★発掘調査:1985,1988,1989,2000,2003,2004年の6回にわたり調査された。
★被葬者:諸説があるが「穴穂部皇子と宅部皇子」説が有力(白石太一郎氏、前園実知雄氏)
その他、「平群氏」説(河上邦彦氏)、「物部氏系」(黒岩重吾氏、門脇禎二氏)、「蘇我小姉君とその皇子」説(猪熊兼勝氏)、「膳氏」説、「額田」説がある。
★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳
【参考文献】
・斑鳩町の古墳 斑鳩町教育委員会
・アサヒグラフ 藤ノ木古墳大特集 朝日新聞社
・奈良・大和の古代遺跡を掘る(前園実知雄氏)
・大和の古代遺跡案内(泉森皎氏)
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