ふたづか
前方後円墳の最末期の古墳で、前方部、後円部とも10mを超える腰高の古墳です。これは埋葬部を、通常の後円部の他に、前方部や造出部にも横穴式石室を造った為、封土を高く積上げたと為と考えられています。尚、造出し部は小石室ですが、調査時に未盗掘の状態で発見され、出土した土器は後期古墳の編年において、基準となる土器の一つとなっています。
おすすめ古墳(☆5.0)
★所在地:葛城市寺口
★墳形:前方後円墳、全長60m、後円部径36m、高さ13m、前方部幅41m、高さ13m。前方部を北に向ける。2段築成、周濠幅約13m。葺石あり。造出しあり(左側括れ部前方部寄り)
★埋葬施設:横穴式石室が後円部、前方部、西側造出部にそれぞれ横穴式石室を持っています。
〇前方部石室→片袖式横穴式石室(全長9m、玄室長3.9m、幅1.7m、高さ1.9m、羨道長5.1m、幅1.4m、高さ1.5m)棺:組合式石棺(棺底材の一部残存)
〇造出部石室→無袖式横穴式石室(全長7.8m、玄室長4.5m、高さ1.3m、幅1.5m、羨道道3.3m、幅1.4m)
〇後円部石室→両袖式横穴式石室(全長16.4m、玄室長6.7m、幅3m、高さ4.1m、羨道長9.7m、幅1.7m、高さ2.7m)棺:不明(凝灰岩の棺材片のみ検出されています)
★副葬品
〇前方部石室→馬具一式(心葉形透杏葉、鞍金具、鏡板等)農工具(U字形鋤先、斧等)砥石、土器片。
〇造出部の石室→玉類(琥珀製棗玉)、鉄刀、長茎式鉄鏃、雁股鉄鏃、農工具(曲鎌、斧、U字形鋤先、鑿、刀子)及び多量の須恵器、土師器
〇後円部石室→鉄テイ、鉄剣、鉄刀、鉄製小札などの武器、武具、U字形鋤先などの農工具類、玉類(ガラス製小玉、水晶製三輪玉)鉄製心葉形杏葉などの馬具、須恵器片、土師器片
★築造年代:6世紀中頃
★発掘調査:1958年
★被葬者:不明
★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳
【参考文献】
・遺物が語る大和の古墳時代(泉森皎氏・伊藤勇輔氏)
・大和の古墳を語る(泉森皎氏ほか)
・葛城の考古学(松田真一氏編)
・発掘 葛城山麓の古墳(葛城市歴史博物館)
行き方
場所は近鉄新庄駅から約3キロの寺口という集落にあり途中の数箇所に行き先案内の看板があるので比較的簡単に行けると思います。国史跡に相応しい特徴と規模をもつ素晴らしい古墳です。2023年2月現在、すべての石室に入室可能です。