葛城山東麓にある笛吹古墳群は6世紀中葉頃を中心とした約80基で構成される群集墳です。笛吹神社古墳は発掘調査はされていませんが古墳群としては1987年に21基の緊急調査が行われ、数基の前方後円墳以外は円墳で、小規模な横穴式石室を中心とした古墳群である事がわかっています。副葬品として鉄刀、鉄鏃等の武具や鉄製農工具類、玉類、のほか鉄涬、金銅製釵がありすぐ近くにある鉄器生産で知られる脇田遺跡や渡来系氏族の忍海氏との関連が注目されます。この笛吹古墳群で盟主と考えられているのが、この笛吹神社古墳です。笛吹神社は別名、葛木坐火雷神社と言われ、文字どおり火の神様で鍛冶生産、鉄器生産との強いつながりが考えられます。笛吹神社古墳の見学は、以前は石室や石棺が見られたのですが、今は写真のように扉が付けられ開口部の石材が一部見れる程度です。古墳内部は管理上致し方ありませんが、ここまでやるのは、やりすぎと言わざるをえません。文化財は神社だけのものではありません。国民共有の財産でもあります。県史跡に指定されていながら古墳の解説板も見当たりませんし、もうすこし考えていただきたいものです。
おすすめ度(☆2.0)・・・石棺が見れれば☆4.5
★所在地:葛城市笛吹字神山
★墳形:円墳(径20m)
★石室:片袖型横穴式石室(全長約12.5 m、玄室長6.4m、幅2.4m、高さ?、羨道部長約6m、幅1.6m、高さ?)
★棺:玄室部に二上山流紋岩質凝灰岩の縄掛突起のある家形石棺が安置されている。(現状は石棺の蓋の一部が見える程度で土砂で埋もれています)
★出土遺物:不明
★築造年代:6世紀初頭
★発掘調査:未(測量調査のみ)
★被葬者:忍海氏関連か?
★奈良ソムリエ検定テキスト掲載古墳
【参考文献】
・大和の古墳を語る(伊藤勇輔氏ほか)
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