ようらくかんすづか

与楽鑵子塚古墳

  国史跡の指定をめざし範囲確認調査が2010年2月~3月に行われ2011年は5月から石室内が調査されています。越智岡,東南麓に位置し、付近にある真弓鑵子塚古墳カンジョ古墳沼山古墳と同じく、石材は付近で取れる花崗岩の自然石を用いた、玄室天井部が高いドーム型の断面形状の古墳で、同じ技術集団でつくられた可能性が考えられます。調査前までは墳丘上は竹林が一面に生え、開口部が判りにくい上、見つかっても開口部が狭く、一瞬石室に入るのをためらってしまう古墳でした。石室マニアに絶大な人気を誇っていましたが調査の為、竹や雑林が切り取られ景観が一変してしまいました。反面、築造当時の墳丘(2段築成)の様子がよくわかるようになっています。石室内は匍匐前進で突入しますが現状の羨道長は約2mしかないので、あっというまに玄室に到着します。中は案外広いですが真弓鑵子塚古墳に比べれば一回りも二回りも小さい古墳です。中の石組みは3段目まではやや緩やかに内傾させそれより上部は急激に持ち送っています。尚、高取町の古墳は調査後ことごとく石室内を封鎖していますので今は入れないかも知れません。

おすすめ度(☆4.0)

ドーム状石室で知られる与楽鑵子塚古墳の横穴式石室が調査され、実用品と思われる鉄製馬具一式や土師器のミニチュアの炊飯具などが出土し石室や副葬品の特徴から一体を拠点とした渡来系氏族の墓である事が改めて裏付けられた。尚、今回の調査(2次調査?)で他に判明したのは以下の通り

・円墳の径が24m→28m

・築造年代が6世紀中頃→6世紀後半

・羨道部の長さが2m→4.6m(要確認 現状は約2mと思われるが・・)に変更された。

 

★所在地:高市郡高取町与楽

★墳形:円墳(直径約28m、高さ、南面約9m、北面約6m)北側墳丘裾に幅4.4m、深さ1.1mの掘割。南に開口

★石室:片袖式横穴式石室(全長?)玄室長4.15m、幅3.15m、高さ現存4.5m。羨道長4.6m(?)、幅1.4m、高さ1m

★埋葬施設:横穴式石室

★出土遺物:ミニチュア炊飯具(土器)、鉄製馬具、釣り針、須恵器、金銅装耳環,銀製指輪など

★築造年代:6世紀後半

★発掘調査:1次調査(2010年2月~3月)2次調査?(2011年5月~)

★被葬者:不明(渡来系?)

 

【参考文献】

-与楽カンジョ古墳・与楽鑵子塚古墳発掘調査報告書

 

行き方